「ねえ橘、梅雨だね」
「何が言いたいの」
「白鳥は雨が好きって言ってたよ」
「…ふうん」
「夏ってさ、雷多いよね」
「…ふうん」
「なんで怖がるの?」
「はあなんでって…知らないの雷。上層と下層の電位差が拡大して空気の絶縁の限界値を超えたら電子が放出されて、それが空気中にある気体原子と衝突して電離するんだよ。電離で生じた陽イオンが電子と逆に向かって突進してまた新しい電子をたたき出して、それが電子雪崩を引き起こして持続的な放電現象となって下層に稲妻が飛んでいくんだよわかる?分かったとしてそれがどれだけ強い光の束か知ってんの?だって1〜10億ボルトつまり電力換算すると100ワットの電球が90億個分なんだよこれどんだけすごいと思ってんの。ピカチュウでも1万ボルトなんだよ。別にポケモンいなくても雷のほうが強いよね。ていうかそれが落ちてきたらどうなると思ってんの。死にたいの。常識的に考えてそんなのが落ちそうだったら逃げるよね。だからつまり俺はおかしくないそうだよね」
「いや、相当おかしいと思う」
***
「ちなみに雷鳴が聞こえてからじゃ遅いんだよ。45度以上に見上げる高さの木は避雷針の役割を果たしてくれるから安全だけど、幹とか枝に2メートル以内まで近づくと側撃雷が発生するかもしれないから適度に離れなきゃ死ぬよ。あと、雷が近くても走って逃げたからって落雷を避けられるとは言えないし、直撃を避けても地面に落ちた雷はある程度の距離なら地表を伝って強い衝撃波を受けるよ。つまり死ぬかもよ。その時足は閉じたほうがいいんだよ。さらにできる限り小さくなって座るとより効果的なんだよ。……要するに外に出なかったらいいんだよ。笑涙も気をつけなよ」


(橘が雷について語るとこうなる/質問者は笑涙)